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電車の中での会話 [随筆]

アインシュタイン.jpg
   電車の中での会話
 ある日の帰りの電車の中でのことです。赤羽から埼京線に乗り、新宿に向かっていました。運良く赤羽始発の新宿行きだったので、坐ることができました。新宿行きなら乗り過ごす心配もありません。私は安心して目を閉じて、少し眠ろうと思っていました。左隣に、高校生または専門学校生と思われる女の子二人が座っていました。その会話が聞こえてきます。
A「ほら、あの人、なんという名前だっけ。シュが付いたのよ、確か。」 
B「シューベルト?」
A「違うわよ、りんごと関係あるのよね、あの人。」 
私(りんごと関係ある人?ワシントン?ニュートン?美空ひばり?……どれもシュは付かないぞ。)
B「シュワルツネッガー?」 
私(シュワルツネッガーとりんごと、どう関係あるんだ。)
A「シュワちゃんじゃなくって、ええとなんだっけ。一般とか特殊とか……、なんとか理論って言うんだよね。私知ってるんだけど、ああ名前だけ出てこない。悔しいなあ。気になるなあ。なんだか、アも付いたような気がする。」
私(それだったら、特殊相対性理論、一般相対性理論のアインシュタインでしょうが。)
B「アウシュビッツ?」
私(おいおい、なんでも思いついたことを言えばいいってもんじゃないでしょ。アウシュビッツは人名じゃないよ。アウシュビッツなんて知ってるだけでも大したもんだけど。)
A「写真がよくあるじゃない。舌を出して……」 
私(だから、アインシュタインだってば、アインシュタイン。) 
B「あっ、私も知ってる。」
A「ああ、気になる。なんとか思い出さなくちゃ。」
 気になるのは、こっちのほうです。聞いている内に、もういらいらしてきて、眠るどころではありません。「アインシュタイン!」と、もう少しで叫びそうになりました。第一、りんごは、この場合きっとニュートンです。彼女は、万有引力の法則と相対性理論と、そして、ニュートンとアインシュタインと、なんとなくぐじゃぐじゃになっているのです。
 二人は池袋で降りて行きました。その後、問題は解決したのでしょうか。
「アインシュタインでしょ。」とささやくべきだったかなあ。

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